この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年)
多くの人に見てほしい作品、そして感想を語り合いたい作品
作品について
2016年に公開され、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第一位を受賞した「この世界の片隅に」に約30分の新規シーンを追加した別バージョン。主人公すずとリンとの交流、妹すみを案じて過ごすなかで迎える昭和20年9月の枕崎台風のシーンなどが追加された。新しい登場人物や、これまでの登場人物の別の側面なども描かれ、すずたちの心の奥底で揺れ動く複雑な想いを映し出す。前作に引き続き、主人公すずをのんが演じるほか、すずの夫・周作を細谷佳正、周作の姪・晴美を稲葉菜月、周作の姉・径子を尾身美詞、すずの旧友・哲を小野大輔、すずの妹・すみを潘めぐみ、すずと仲良くなる女性リンを岩井七世といったボイスキャストも続投。監督・脚本は、前作で第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞を受賞した片渕須直。
作品のあらすじ
昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃。18歳で広島から呉の北條家に嫁いだすず(声:のん)は、夫・周作(声:細谷佳正)とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。だが戦況は次第に悪化、すずたちの生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、すずは迷い込んだ遊郭でリン(声:岩井七世)と出会う。境遇は異なるが、呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、すずは周作とリンとのつながりを感じ取るのだった。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる……。
感想
物語の始まりは、米国との海戦直前の日本の日常を淡々と描いており、それほどまでに緊張感はないものの、開戦とともに徐々に物資が不足していくという苦しさ。広島の軍港呉で空襲が激しくなってゆく苦しさ。そして作品のなかで昭和19年から昭和20年になった時に、広島への原爆投下までのカウントダウンが始まっているという、焦燥感みたいなものを感じる。戦争の中にも暮らしはあるし、暮らしの中にも戦いはある。大切な人を失い、大好きな絵を描くことができなくなってしまうこと。ものすごく考えさせられた作品だ。
色んな人と感想を交換してみたい。
主人公の声を当ててたのん、あと旦那さんの細谷さん、どちらも戦時下の緊張感というより日常の素朴な空気感を表現してて・・・あの演技は相当すごい。
この作品は、薄っぺらな反戦の作品ではない。個人的には保守的で若干右よりの思想をもっている私だが、それでも、戦争が非生産的だと思った。戦争してはいけないという話を聞かされるより、戦争に対して嫌悪感を持つようになった。個人的は大きな変化だった。
演出なども、無駄に、音楽とかで煽ったりしてないところも評価できると思う。冒頭で流れたコトリンゴの「悲しくてやりきれない」は最高でした。