空白(2021年)
スーパーで万引きを疑われた女子中学生が逃走中に事故死。娘の無実を信じる父親は、事故に関わった人々を執拗に追い詰めていく。マスコミの過剰な報道や、周囲の無関心の中、事件は思わぬ方向へ展開していく。人々の心の闇と、現代社会の光と影を描き出した衝撃作だと感じた。
誰も救われない気がして、いろいろ考える切っ掛けになりながらも、自分の心の中でどう結論付けたらよいのかわからなくなった。
主要登場人物たちの苦悩
- 添田充(古田新太): 娘の死に突き動かされ、真実を追い求めるも、次第にエスカレートしていく姿は切なかったです。彼の心の奥底には、娘への愛を感じながらも、娘のことを知ろうとしなかった後悔と絶望が渦巻いているように感じました。
- 青柳直人(松坂桃李): 万引きを目撃し、少女を追いかけたことで、人生が大きく変わってしまう。彼は決して悪意を持った人物ではないのに、周囲の圧力に押しつぶされそうになる姿が印象的でした。
冷漠な社会と無関心な人たち
- 学校: 事故の原因となった生徒の所属する学校は、事件に対して無関心な態度を取っていたように感じた。
- マスコミ: 事実を確認せずに、視聴率のためにセンセーショナルな報道を行う様子は、現代社会の闇を映し出しているかのようでした。
- 周囲の人々: 事件に関わった人々だけでなく、周囲の人々もまた、事件に対して無責任な噂話に興じたりと、冷めた目で見ているように感じました。
まとめ
事件の真相を追う中で、安易な善悪の判断や、相手の立場を考えない行動の怖さを痛感。誰もが加害者にも被害者にもなりうる複雑な人間模様に、心を揺さぶられました。この映画は、私たちに「本当に悪と言えるものは何か?」「他人の痛みを理解できるだろうか?」と問いかけているような気がする。