アニメ:戦隊大失格(2024年)

戦隊大失格」、ぜひ見てほしい。令和6年4月から6月のシーズンでTBS系列で放送されたアニメ作品。原作は春場ねぎによる漫画で、週刊少年マガジンで連載中。こんなに面白い作品なのに、見逃していたのが悔やまれる。コメディー的に始まり、サスペンス展開で毎回裏切られてゆくなかで、どんどん物語に惹き込まれてしまった。「正義は勝つ」という思考停止へのアンチテーゼなのかどうかはわからないけど、個人的にはそういうことにしてひどく共感している。

物語の設定

物語の舞台は、よくある正義のヒーローVS悪の怪人の戦いがある世界。しかし、実は悪は戦闘員だけが生き残った茶番劇の世界。主人公は意外にも下っ端戦闘員D。理不尽な茶番劇の世界で大戦隊打倒を目指し、ヒーロー組織に潜入することから始まる。

物語の魅力

本アニメの魅力は、少なくとも前半は、登場人物の本当の立ち位置が不明確で、どんどん裏切られてゆくことが面白い。作者や監督がどこまで考えているかはわからないけど、正義とは本当に正義なのか、悪者は本当に悪者なのか。そうとう深いレベルでの疑問を表現しており、そして見ている側にも考えさせる。エンディングで「正解はいらない」という展開にもなっていることも、意味合い的に重要かと思われる。

「Febri:さとうけいいち監督に聞いたTVアニメ『戦隊大失格』ができるまで①」によるとして、原作者も喜んでいるようなので一安心。

深い部分にシリアスなミステリー・サスペンスが仕組まれて入るものの、表面的な喜劇性の高さも魅力的だね。

音楽関連のハナシ

ヒーローの戦いがSHOWビジネスとして成立している世界観が何かと似ているとおもって調べてみたら、TIGER & BUNNY でした。監督(さとうけいいち)・音楽(池頼広)のコンビでしたね。ただTIGER & BUNNYの音楽あんまり覚えてない。

「febri:池頼広に聞いたTVアニメ『戦隊大失格』の音楽づくり」で答え合わせすると、曲はフィルムスコアリング(実際の映像に合わせて音楽をつけていく手法)ということでした。監督の要望がハリウッド的な実写映画っぽい音らしてくて、第一話の冒頭のスタジアムの歓声、実況の声と重厚なオーケストラ音を重ねることで、それっぽい大戦隊(ヒーロー)側の雰囲気を作っているし、一方でオーボエないしファゴットを主旋律に小編成で哀愁とか滑稽な味わいで怪人側に寄せているのも見事としか言えなかった、耳からも情報がたくさんもらえる。

ところがそれ意外のテーマは作らない。情報過多にならないようになんでしょうかね。そういうこだわりも魅力。

OP「次回予告」

OPではあるんだけど、第一話では、エンディング的に使われていた。この映像も音楽もすごい。正義によって操られて悪を演じ負ける戦いを強いられる理不尽を存分に表現している。無邪気な子供の声で「正義は勝つ、負けたら悪者?」という歌詞の皮肉は痺れた。

ED「正解はいらない」

当時これは流行らなかったのか?SNSや動画サイトで踊ってみる人々は後を絶たない世の中なのに、これを踊ってみた投稿をあまり見かけない。検索してもそんなにない。「かっこいい」「かわいい」ではなく「滑稽で悲哀に満ちている」気がする。言いすぎだろうか?

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