「温泉大国」の可能性。地熱発電への期待と立ちはだかる三つの壁

最近、ニュースで地熱発電についての議論を見かけました。太陽光や風力はよく聞きますが、実は地熱発電こそ、私たちが目指す未来のエネルギーとして最も理想的な形かもしれません。

なぜなら、地熱は発電時に二酸化炭素(CO2)の排出量が極めて少なく、天候に一切左右されず、24時間365日安定して稼働できる、まさに「夢のエネルギー」だからです。そのポテンシャルが高いだけに、普及が進まない現状はいよいよ大きな関心が寄せられるところです。

期待:資源大国日本のポテンシャル

日本は火山国であり、地熱資源量はなんと世界第3位の規模を誇ります。

これは、海外からの資源輸入に頼らずに済む「純国産エネルギー」であるため、エネルギー自給率向上に大きく貢献します。さらに、設備利用率は約80%と、他の再生可能エネルギーよりも圧倒的に高い、非常に信頼性の高いベースロード電源としての期待が高まっています。

課題:立ちはだかる三つの壁

ポテンシャルは高いのに、なぜ日本の地熱発電は普及が進まないのでしょうか。そこには、克服すべき三つの大きな壁が存在します。

  1. 温泉との共存問題: 地熱開発と温泉は熱源が同じであるため、「温泉が枯渇するのではないか」という懸念が地域住民や温泉事業者から根強くあります。この地域合意形成の難しさが最大の壁です。
  2. 建設場所の制限: 優れた地熱資源が多く存在する場所が、国立・国定公園内の特別地域内に指定されており、開発が規制されていることが普及を妨げています。
  3. 初期投資の高さ: 掘削や入念な地質調査が必要なため、初期投資が非常に高く、莫大な費用と時間を要する事業者のリスク負担が大きい点も課題です。

世界に先駆けるための鍵

地熱発電は、クリーンで安定したエネルギーを自国で賄うための切り札です。資源ポテンシャルは世界トップクラスなのですから、この夢のエネルギーを「現実」のものとするためには、科学的根拠に基づいた地域との対話と、技術革新による初期コスト低減が不可欠です。

地熱発電への挑戦は、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現に向けた、日本の未来の重要な柱の一つになると私は考えています。

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