ITジャーナリスト、深田萌絵氏。彼女の動画を見ると、いつも複雑な気持ちになる。彼女が鳴らす警鐘に「もし本当だったら…」と不安になり、思わず中国製品を避けようと考える自分がいる。その一方で、芝居がかった話し方や攻撃的な姿勢には、どうしてもついていけないと感じてしまう。

この記事は、そんな『信じたいけど、信じきれない』という矛盾した感情を、無理に結論を出さずに整理してみる、僕自身の個人的な思考の記録です。

僕が「中国製品を避けよう」と思った、ただ一つの理由

正直に告白すると、僕は彼女の情報に影響され、具体的な行動に移そうと考えました。それは、身の回りから中国系のネットワーク製品を少しずつ減らしていく、というものです。

これは、彼女の主張を100%信じきったからではありません。そうではなく、彼女が提示する「万が一のリスク」を、どうしても無視できなかったからです。情報の真偽は確かめようがない。でも、もし彼女の言う通り、製品にバックドアが仕掛けられていたら?そのリスクを考えると、少し高くても国産や他の国の製品を選んだ方が安心できる。そう思ってしまったのです。

彼女の言葉には、私たちのそんな不安に直接訴えかけ、行動を促す強い「力」があることだけは、間違いありません。

それでも拭えない、彼女への“3つの違和感”

しかし、行動面で影響を受けつつも、僕は彼女を全面的に信じることができません。それどころか、視聴するたびに、いくつかの拭いがたい「違和感」が大きくなっていきます。

一つ目は、彼女が「経営者」であるという点です。彼女は純粋なジャーナリストではなく、ビジネスの当事者です。その発言が、日本の未来を憂う気持ちから来るものだとしても、同時に、自身のビジネスに有利な世論を形成するための「利益誘導」、つまりポジショントークである可能性は常に頭の片隅に置いておくべきでしょう。これは別に悪事ではありません。ただ、彼女の言葉を額面通りに受け取れない理由の一つではあります。

二つ目は、そのコミュニケーションスタイルです。芝居がかった、感情的な演説。そして、敵対者だけでなく、時に味方であるはずの人々にも容赦なく「噛みつく」攻撃的な言葉遣い。僕には、その姿がどうしても「他人を蔑んでいる」ように見えてしまい、苦手意識が先に立ってしまうのです。人を惹きつけるカリスマ性と、人を遠ざける過剰な演出は紙一重なのかもしれません。

三つ目は、主張が「陰謀論」と紙一重である点です。彼女の説の核心部分は、私たち一般人には「裏取り」が不可能です。それはもはや、信じるか信じないかの世界。この「確かめようのない話」を前にすると、思考は停止し、ただ彼女の言葉を鵜呑みにするか、全てを拒絶するかの二択を迫られているような気分になります。

「裏取りできない」時代の情報との付き合い方

この問題は、深田萌絵さん個人への評価に留まりません。検証不可能な情報がネットに溢れる現代を生きる、私たち全員の課題です。

一昔前なら「ファクトチェック」が重要だと言われました。しかし、国家レベルの陰謀や、専門的すぎる技術の話のファオクトを、私たちはどうやってチェックすればいいのでしょうか。おそらく、多くの人にとってそれは不可能です。

だとすれば、私たちにできるのは、情報の正誤を判定することよりも、「発信者の意図を推し量り、自分にとってのリスクを管理する」ことなのかもしれません。なぜこの人は、今この情報を発信するのか。その情報を受け入れた場合、あるいは無視した場合、自分にどんな影響があるのか。そう考えることが、現代の情報リテラシーなのだと感じます。

現時点での、僕なりの「暫定的な結論」

ここまで、自分の矛盾した感情を整理してきました。その上で、現時点での僕なりの「暫定的な結論」をまとめておきたいと思います。

それは、彼女という「人格」や「思想」を丸ごと信じるのではなく、彼女が発する「警告」を、自分の頭で考えるためのキーワードとして受け取ることです。

彼女の言葉は、客観的なニュースではありません。特定の危機を最大限に強調し、人々の行動を促すための、強い意図を持った「警報」です。だから、その警報の音量や音色に惑わされる必要はありません。ただ、その警報が指し示す「方角」だけは、一度確認してみる価値がある。

彼女を教祖のように「信じる」のでも、敵のように「拒絶する」のでもない。あくまで自分の思考を深めるための「素材」として、冷静に「活用」していく。今の僕には、そんな、つかず離れずの距離感が、一番しっくりくるようです。

参考情報

この記事で言及した深田萌絵氏の情報は、主に以下の媒体で発信されています。

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